相続不動産売却の全て!流れ、税金対策、注意点を徹底解説
●不動産売却は6ステップ
●売却にかかる税金は2種類
●相続不動産に使えるお得な制度がある
●相続不動産の放置はNG
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・不動産を相続したけど何をすればいいの?
・かかる税金や諸費用は?
・税金対策や相続した不動産で気を付けなくてはいけないことは?
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こんな悩みを解決できる記事を用意しました。
この記事で紹介する内容を理解いただけば、相続した不動産の手続きから税金までスムーズに進むようにお役立てください。 記事の最後には、私の実務経験から一部の税金を無料にする知識もお伝えしますので是非ご覧ください。
相続開始から不動産売却までの流れ
不動産を相続することは、普通の人にとってなかなか経験することが少ないことかと思います。
物事の整理に加え、心の整理もつけなくてはいけない中で、まずは3か月以内に遺言書の有無、相続人や財産の確認をし、相続をするのか、相続は気をするのかを決めなくてはいけません。
①相続開始:遺言書の有無を確認する
まずは遺言書の有無を確認しましょう。遺言書の有無によってその後の手続きが大きく変わっていきます。
遺言書あり→遺言書に沿って遺産を分割する
遺言書なし→法定相続人で遺産分割協議をする
遺言書が見つかっても、勝手に開封してはいけません。遺言書の複製や偽造を防ぐために「検認」の手続きを家庭裁判所に行ってもらうためです。
②相続人と財産を確認する
次に、誰が相続人になるかを調べるため、被相続人の戸籍謄本を取得し親、子、兄弟姉妹など親族関係を洗い出し相続人を確定させます。 配偶者は法定相続人となり、子供、父母、兄弟姉妹の潤で法定相続人の順番が定められています。
<第1順位>
死亡した人の子供 その子供が既に死亡しているときは、その子供の直系卑属(子供や孫など)が相続人となります。 子供も孫もいるときは、死亡した人により近い世代である子供の方を優先します。
<第2順位>
死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など) 父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先します。 第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になります。
<第3順位>
死亡した人の兄弟姉妹 その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供が相続人となります。 第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になります。 相続を放棄した人は初めから相続人でなかったものとされます。 また、内縁関係の人は、相続人に含まれません。 相続人の範囲と法定相続分(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4132.htm) そして、相続される財産を調べます。
本コラムでは相続した不動産売却について説明していますが、不動産以外にも現預金、株などの有価証券、貴金属宝石などもあります。相続される財産はプラスのものだけでなく、ローンなどの借金も相続されます。このプラスとマイナスの差に葬儀費用を控除したものに相続税がかかります。 ちなみに相続してもマイナスが多い場合には相続放棄という制度があり、相続開始から3か月以内に相続放棄の申し立てを家庭裁判所に行うことが出来ます。
③遺産分割協議で財産の配分を決める
法定相続人と相続財産が確認出来たら、誰が何を相続するかの「遺産分割協」を行います。
この協議は必ずしも対面で行う必要はなく、LINE通話、電話などの利用も可能なので、相続人が遠方にいる場合などは積極的に活用しましょう。
ここで問題になるのが不動産の分割です。
不動産は現金と異なり、一人〇〇円とわかりやすい形での分割が難しく、下記4つの分割方法があります。
1.現物分割:財産をそのまま分割(家→母、現金→子、車→孫という形に分割)
2.等価交換:不動産などを売却して現金を分割します
3.共有分割:不動産などを売却せず権利を分割します
4.代償分割:分割できないものを特定の人が相続し、他の人に金銭を代償します。
このように複雑で、協議がスムーズに進まない場合は、遺産分割調停を書いて裁判所に申し立てることも可能なので、選択肢の一つして覚えておくといいでしょう。 内容が決まったら「遺産分割協議書」を作成し、相続人全てが署名捺印します。
④相続登記で不動産を名義変更する
不動産を相続した場合、所有者の名義を被相続人から相続人に名義変更する必要があります。 通常、登記は司法書士等の専門家に依頼しますが費用が掛かる為、ご自身で行う方もいます。
⑤相続税の申告・納税をする
相続する財産が下記控除額を超える場合には、相続税の申告と納税を行う必要があります。
基礎控除額=3000万円+法定相続人の人数×600万円
法定相続人が1人のケース:3600万円
法定相続人が2人のケース:4200万円
法定相続人が3人のケース:4800万円
法定相続人が4人のケース:5400万円
この基礎控除額を超えると相続税が加算されます。 相続税の申告・納税は相続開始を知った翌日から10か月以内が期限です。 相続税の計算はケースによって異なる為、こちらを参考にください。 相続税の税率(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm)
⑥不動産の売却をする
相続した不動産を売却するのは通常の不動産売却と大きく変わりません。
大きな流れとしては、
①査定依頼
②媒介契約
③売却活動
という3つのステップになります。
相続した不動産の売却にかかる税金
不動産を売却する際にも税金がかかってきますので、ここではその税金について解説していきます。
譲渡所得税
不動産売却によって売却益が出た場合、利益に対して譲渡所得税が発生します。
譲渡所得税は下記の計算式で算出されます。
譲渡所得税={売却額-(取得費+譲渡費用)-特別控除}×税率
特別控除とは不動産譲渡の理由や種類によって異なりますが、最大で3,000万円が控除されます。こちらについては後ほど解説します。 また、税率は不動産を所有していた期間によって異なります。
短期譲渡所得(譲渡した年の1月1日時点で5年以下):39.63%
長期譲渡所得(譲渡した年の1月1日時点で5年超) :20.315%
印紙税
次に印紙税です。 これは不動産売却の際に締結する売買契約書に課される税金です。
これは売却不動産の価格によって税額が変わります。
契約書に記載されている金額 印紙税額(※)令和6年3月31日までの軽減税率を適用した場合の税額
10万円超え50万円以下 200円
100万円超え500万円以下
1,000円 500万円超え1,000万円以下 5,000円
1,000万円超え5,000万円以下 10,000円
5,000万円超え1億円以下 30,000円
1億円超え5億円以下 60,000円
不動産売却の税額が安くなるお得な制度と知識
不動産売却の税金を見ましたが、これら税金を抑えることはできるのでしょうか。
相続した不動産は3年を目安に売却すると使える特例があり、税金を安くすることが出来ます。
ここでは2種類の特例と実務において印紙税を最大0にする知識をお伝えします。
取得費加算の特例
まず一つ目は取得費加算の特例です。
この特例は相続開始のあった翌日から3年10か月以内の売却が対象になります。
支払った相続税相当額を「取得費」に加算できます。 先ほど譲渡所得の計算式は下記の通りと記載しました。
譲渡所得税={売却額-(取得費+譲渡費用)-特別控除}×税率 この取得費加算の特例を適用した場合、
譲渡所得の計算式が 譲渡所得税={売却額-(取得費+譲渡費用+相続税 }×税率
となりかかる税金が安くなります。 細かい条件は相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3267.htm)も合わせてご確認ください。
空き家の3,000万円特別控除
次は空き家の3,000万円特別控除の特例で、被相続人の居住用の財産(空き家)を売却した際に受けられる特例です。
こちらは家屋・敷地の要件が設定されており、
・昭和56年5月31日以前に建築された家屋
・区分所有ではない
・相続されるまでに被相続人以外が居住していない
更に、売却期間の制限が ・平成28年4月1日から令和5年12月31日の間の売却 ・相続開始の日から3年を経過する日の属する12月31日までの売却 などの条件があります。
その他細かい条件もあるので 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm) も合わせてご確認ください。
印紙税を0にする知識
最後に印紙税を0にする方法です。 これは、印紙税を買主に負担してもらうように交渉します。
不動産を売却した後、売買契約書を読み返すことはほぼなく、原本を保管している必要もありません。 そのため、売却時に契約書は写しを売主に交付、原本は買主に交付。
よって印紙代は買主の負担としてくださいと交渉をします。 実務では折半で落ち着くことが多いのですが、一度仲介会社に相談されてもよいかと思います。 物件の価格によっては数万円得するので是非お試しください。
相続した不動産の放置はNG
不動産を相続すると管理などの面から放置してしまうことも多々あるかと思います。
ただ、不動産を放置することは先ほど記した税金の特例が受けれなくなったり、固定資産税や火災保険、マンションなら管理費・修繕積立金などのコストが追加でかかったりとデメリットが多く存在します。 面倒だからと放置せず、住むか売るか貸すかの3択の中で適切な対応をしましょう。
まとめ
不動産を相続することも、不動産売却も人生で頻繁に起こるわけではなく慣れていないのは当然です。
それが精神的にも整理をしない状態で行わなければならないのでより大変に感じられると思います。
思い出の詰まった実家など相続した不動産をいい形で売却するには、信頼できる不動産屋を見つけることが何より大切です。
弊社、株式会社GITAはお客様のお悩みや物件に応じて様々な対応をしてまいりました。
新潟市・新潟県で不動産売却をご検討の方は。是非お気軽にお問い合わせください。